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Diary : 2018年2月

2018.2.26 / 15周年の初詣

皆でお揃いの法被を着て毎年恒例の初詣に行ってきた。

大きな鳥居をくぐり参道に入ると細かい砂利に脚が取られて物憂いだが、目を閉じてザクッザクッという音と歩いていると雪や砂浜とはまた違う何か自然の上を踏みしめているような錯覚を覚える。

砂利の大きさや量の程良い加減を計算して人工的に感覚までもを創造するのはいかにも日本的なモノづくりの発想で心地が良い。

社殿に上がり横一列に並んで正座をして1年の安全と商売繁盛を願い祈祷してもらう。
やるだけやったら後は神頼みという単なる験担ぎだが、神主さんが唱える祝詞と幣を振るうサッサッという音が頭の上を行ったり来たりするうちに不慣れな正座に脚が限界を迎えて頭までシビレてくると「ああ今年も始まったなあ」と実感する。

参道にはずらりと屋台が並び参拝客で賑わっているが、ピンと張った糸のような緊張感はいつもと同じで背筋が伸びる。

熱いワンカップ酒と焼きそば、たこ焼き、モツ煮、お好み焼き、焼き鳥などなど屋台の端から端まで全部ちょうだいってな具合で、寒い中ガタガタ震えながら泥酔するのが毎年の恒例行事だ。

数えてみると、そう言えば今年はお陰様でKOMA創業15周年だ。
勢い勇んで全くのノープランで独立した割によく続いたなあと思う。

独立して最初の頃の仕事は「クオリティーなんてこだわらなくてイイから安く早くして!」なんて言われるようなものばかりで何だか悔しくて、良いモノづくりの環境を与えてもらっていた修業時代を思い出しては、売れる当てもない作品づくりを意地になって続けていた。

そうやって続けるだけで精一杯の8年間を過ごし、ようやく自社製品づくりのチャレンジを少しずつ始められるようになったのは今から7年前。
そのタイミングでいきなり与えてもらった伊勢丹新宿店のメインステージ45平米は大きなチャンスとなった。

2013年に10坪の小さな直営店KOMAshopを開店し、念願だった自社製品を展開し始めたのはまだたった5年前。

こうして見ると、あらためて自分たちはまだまだ新参者だと認識します。

それこそ青山辺りには老舗のインテリやショップが多くあって学生の頃はしょっちゅう憧れの目で覗き回っていた。
実は相棒の亀井が職人志望で面接を受けて不採用になった家具屋さんもあったりする。

長く続いているショップはそれぞれのオリジナリティーがあって、いちファンとしての気持ちは今でも自分の中に変わらず存在しています。

今は自分たちのショップにあの頃の俺たちみたいな学生さんや若い家具職人さんが全国から見学に来てくれることがすごく嬉しいしガッカリされないように頑張ろうという気になります。



この日は工房に帰ってまた呑みなおす。

みんなで書き初めをして1年の抱負を額に入れて事務所に飾る。
酔った勢いで気持ちがデカくなって背伸びをして書くから面白い。
これは今年から新しくはじめた行事だ。

この日は例のKOMA1-GPの第2回を行った。
テーマは「ゴミ箱」で、また俺が優勝して賞金1万円を獲得したが「経費つかい過ぎです!」の武内マイちゃんの一言で財布に入る前に没収された。

さあ今年は何が起るのか。
去年が遠く霞んでしまうくらい先に進んで、10年後に旨い酒が呑めるような楽しい思い出を皆で沢山つくれたらイイな〜と思っています!



2018.2.15 / アルバイト

中国出身で慶応大学に在学中の語学堪能な女の子が面接に来てくれた。
元は北京の大学を出て銀行のフィナンシャルプランナーなんて事をしていたらしい。
KOMAにとっては異色の経歴で興味が湧いた。

いつも面接は午前中からスタートして簡単に挨拶をしたらそのまま工房で作業を体験してもらう。
武内マイちゃんがサッと用意してくれる「同じ釜の飯」の昼食をみんなで共にして、また午後から作業をしてもらい、安いが日当も支払う。

次の段階は、来れる範囲の週1ペースでバイトに来てもらうか3ヶ月のトライアルをしてもらう。

こちらが見たいのではなくてこちらを見てもらいたい。
自分に合うか、続けられそうかを見て体感して判断してもらいたい。
多くの時間を費やすことになる仕事と職場をしっかり選んでもらいたい。

今までも沢山の人が入ってきて離れていった。
本当にハードな時期にいてくれた一人一人に感謝しているし、勝手ながら惜しいことをしたなぁと思う人が何人もいる。

何れにせよ大抵の場合は会社と俺に落ち度があり、その度に後悔して少しずつだが働く環境は改善されてきた。

会社の成長は人の成長とイコールだと分かっているが、モチベーションを持ってイキイキ成長できる環境とは何か?
それが簡単に実現できたら苦労しない。

今までもその時なりに一生懸命やってきたつもりだが、振返ってみるとやはり良くないことばかりだったとあらためて反省する。


そしてこの冬から現メンバーの努力の甲斐もあって、若い衆の働き方を根本的に変えられるような新しいチャレンジが始まった。

1日8時間で20日勤務が月の基本で残業はあっても2時間まで。
月間160時間〜最大でも200時間未満といったところだ。
毎月10日の休みがあってだいぶ時間にゆとりが出来る。

その時間の使い方は自由だが、
もし作品を作ったら会社が買い取って本人の紹介プロフィールと共にshopで展示販売する制度や、日常の業務中では時間の縛りがあって丁寧に教えたりチャレンジできない内容の作業を時間外業務として一緒にやる制度などもできた。

「もっと上手くなりたい」とか「もっと稼ぎたい」理由は何でも良いが、やりたい人はいくらでもチャレンジできる。

ヤル気に溢れるウチの若い衆達の場合、会社が下手に縛るより本人達の自由にした方が伸びるだろう!との想いもある。
少なくともモノづくりが好きで意欲的に前進したい者にとってはチャンスもあって良い環境だと思う。



きっと職人という職業の未来も他と同様に明るくないと思う。

近い将来ほとんどの人の手技は機械に勝てなくなるだろし、
効率の良い優れた設計やデザインも人工知能が人の経験に勝るのだろう。
グローバルな技術の進歩なんて俺のオツムじゃもう予想もできない。

だけど「オリジナリティーがあれば何の問題もない」と楽観的に見ている。
職人にとってのそれは、作って造って創りまくったその先に見えてくるものだと信じている。
そりゃあ人の何倍かはやらなきゃダメだろうけど、ただそれだけのことだと思う。


時代の波は個人の想いなど微塵も関係なく勝手にカタチを変えながら進んでいく。
その途方もなく大きなウネリに抗い変化を拒んだ途端、一瞬で飲み込まれモミクチャにされて、気付いた時には上も下も前も後ろも何かも見失なって取り残されてしまうような気がする。
この時代は予想できないくらいスピードもサイズもあって難しそうだけどその分「乗れたら最高にキモチ良さそうだ!」とこれもまたサーフィン気分で楽しめれば良いくらいに楽観視している。


変わりたくないからこそ変わらなければならない。


俺たちで言えば「良い家具を創りたい」という初心を変わらずに持ち続けるためにチャレンジして世の中の変化と共に変わり続けなければならない。

普遍的なモノはその春秋を経た先に表現出来るのだと思う。


KOMAは恐れることなく皆でガンガン挑戦しながら変化を楽しんで、一人一人がオリジナリティーのある職人の集団でありたいと思っています。

そんな職人達それぞれの個性が光る作品のファンになってくれる人が次第に増えていって、一人一人が主役で輝けるような「ロックバンドみたいな会社」を目指すのも修業時代に憧れた自分勝手な初心の一つです。

全ての人に受け入れられるモノなんて作れないし、誰にとっても居心地が良い会社なんかもつくれません。

限られているからこそ、響いてくれるお客様や仲間達の有り難みを感じます。



現在週一でアルバイトに来てくれているのは、プロダクトデザインをしっかり勉強した女の子と韓国出身のイケメン専門学生。
二人とも魅力的でよく頑張ってくれる。

今回の中国から来た女の子は家庭の急な事情で国に帰らなくてはならなくなってしまった。
映画を見てるだけで言語が覚えられるというから相等アタマが良いんだろう。
陽気でハツラツとしたすごく可愛らしい子だった。

帰り際にKOMAのパーカーをあげたら飛び跳ねて喜んでくれた。
「中国に帰ったらコレ着てKOMAの宣伝する!」
「中国に来る時は力になるから声かけて!」
「また日本に帰って来れたら働かせて!」

たった数時間の付き合いだったけど、いつか何かで関わるんじゃないかと直感する良い出会いだった。

俺は頭も顔も性格も良くないがテキトーな直感力だけは自信がある。

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